ss07 京の夏
もう夏も終わりに近づいてきましたね~
ちょっと遅くなりましたがお盆ネタです。
<京の夏>夏祭りも花火も今年の夏は行けなかった。
祇園祭は警備に追われてあまり見る暇もありませんでしたし。
江戸では大川(隅田川)で夕涼みがてら花火を見ましたっけ。
沖田は懐かしい思いでぼんやりと考えていた。
ああ、今日は送り火がありましたか。
神谷さんを誘ってみましょう
そう思ったがお馬で屯所にはいない。
それならばとお里の家へ向かう。
「ごめんくださーい」
「あら沖田せんせ」
「神谷さんはいますか」
「あれ?沖田先生」
休みのあいだに家まで訪れるなんて
なにかあったのかと思ったがそうではないらしい。
「送り火を見に行こうと思って」
「そういえばお盆終わりですもんね」
「一緒に行きませんか」
「・・・でもお馬」
「そないなこといわんと行ってきなはれ」
折角やしとお里さんが女子姿に仕上げてくれた。
しかし沖田先生がなんと言うであろう。
「本当にこんな格好で行ってかまいませんか?」
「これならわからないでしょうし」
「でも」
「お休みのときぐらい、いいですよ」
だってそんなに綺麗なのだから。
「支度をしたので遅くなりましたね」
「途中まで籠を使いましょう」
神谷はもったいないとは思ったが体調からも
籠を使わないと間に合わない。
「ほな、いっといでやす」
「「行ってきます」」
お里に見送られながら家をあとにし
嵐山までやってくると
もうたくさんの人が集まっていた。
「始まりますね」
「あ、」
「危ないですよ」
神谷さんが転びそうになったところに手を貸し
そのまま不自然にならないように手を繋ぐ。
「綺麗ですね」
「・・・はい」
あなたが、とつい言ってしまいそうになった。
手を繋いでいることに照れているのか
赤い顔をするあなたに見惚れている間に
鳥居の形へ火がまわり一刻ほどで終わった。
「帰りますか」
「せっかくなのでどこかでご飯でも」
もうだいぶ遅くなりましたがと神谷さんが言う。
確かに夕飯を食べ損ねた。
明日の隊務は昼からなので時間はある。
しかしこのまま部屋で二人きりになるのは気恥ずかしい。
「もう遅いですし」
「そうですか」
寂しそうな顔をする。
そんな顔をさせたくはないのに。
「そういえば今年の夏は大丈夫ですか」
「京の暑さにも少しなれました」
あなたがいつも気をつけてくれているからかもしれませんね。
それにまたあんな風に倒れるのはもうごめんです。
--あなたを守れませんから--
京の夏はまだまだ暑い。
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