<花香る季節>の第2話です。
『土→セイ』な感じで書いてみました。
妄想炸裂(笑)
ここのところネタばればっかり・・・
<花香る季節> 2.始まりの予感
こんな夜中に何の声だ?
井戸のほうから聞こえるな。
「神谷か?」
「ぐすんっ・・・あ・・・ふ、副長?!」
「どうした」
なんでもないと立ち去ろうとする清三郎を引き寄せ
「いいから泣ききっちまえっ」
そう言うとさらに抱き寄せ胸を貸す。
「それで、なにがあったんだ」
「・・・」
「なんだ言えねぇのか」
(どうせ総司のことなんだろう?)
「・・・」
「お前はよくやってる あいつは心配しすぎなんだ」
「今日は優しいんですね」
「ばかやろう、鬼が優しくてどうする。貸しだ貸しっ」
そう言いながら涙を拭ってやる。
この前、枝にデコをぶつけた時も軽くて柔らかく
女子のようだと思ったが、今日はよい香りまでする。
--こいつは男だぞ--
俺は衆道は嫌いなんだ。
いくらこいつが女っぽくなったって、男だ男!
そう自分に言い聞かせるが、段々と顔が赤くなっていく。
「も、もう大丈夫か」
「はい。ご迷惑をおかけしました」
「しかし、こんなに泣くなんてやはり童だな」
なんとかいつものようにからかうと
「さっさと寝ろ」と言い、自分も部屋へ引き返す。
少しでもそんな気になるなんて俺もヤキが回ったか・・・
そんな二人を遠くから見つめる目にも気づかず。
やっと第3話ですね。
これはちょいネタばれにも入らないと思うんだけど・・・
う~ん微妙かな?
花香る季節「1.溢れる心」のセイsideです。
<花香る季節> 3.揺れる気持ち
先生が私を必死で探してくれてたのはうれしかった。
でも、でも先生。
--そんなことは言わないで--
「失礼します」
「こんな遅くにすいません」
「いいえ。それで・・・お話とはなんですか?」
すごく嫌な予感がする。
聞きたくない。
「あの、ですね」
「はい」
「・・・」
長い沈黙が続き、つい言ってしまった。
「もう夜も遅いですし、明日にしませんか」
--先延ばしにしても仕方がないのに--
「最近あなたが眩しく見えるんです
見ていると胸が苦しくなるぐらい」
突然の言葉に戸惑う。
抱き寄せられて期待してしまう。
でも・・・裏腹に絶望の予感。
「隊を出なさい」
やはりいつも通り!いつも、いつも。
---頬に涙がつたう。
また泣いてしまった。
泣いても意味がないのに。
こんな私は嫌だ。
なぜか目を頬を先生の唇が優しく慰めてくれる。
揺れる、揺れる私の気持ち。
「私は隊を離れません」
それしか言えない。
--私は隊を離れません--
お休みにUPできなかった分、上げちゃいますっ
「2.始まりの予感」のセイちゃんside。
『土×セイ』風味です。
<花香る季節> 4.優しい鬼
沖田先生のいる部屋を出ても涙が止まらない。
このまま隊士部屋に帰るわけには行かないが
夜中に屯所から出るわけにも行かない。
(井戸へ行こう)
あそこなら部屋からも離れているし
顔を洗うこともできる。
「沖田先生・・・」
やはりこんな風に泣いてしまう私は女子でしかない。
こんなにも武士でありたいのに。
私は一人考え事をしていたせいで
人が近くに来たことに気づかないでいた。
「神谷か?」
「ぐすんっ・・・あ・・・ふ、副長?!」
「どうした」
立ち去ろうとしたが土方に止められた。
こんな時に頼ってはいけないと思った。
しかしそんな私をなにがあったのかと
土方は優しく聞き慰めてくれる。
「いいから泣ききっちまえっ」
--優しくしないでください--
そう心では思うが体が動かない。
「今日は優しいんですね」
「ばかやろう、鬼が優しくてどうする。貸しだ貸しっ」
そう言いながら涙を拭われる。
私はこの優しい鬼を利用しているのかもしれない。
心はあの人のことばかりなのに・・・
「ありがとうございます」
「もう大丈夫か」
「はい。ご迷惑をおかけしました」
「しかし、こんなに泣くなんてやはり童だな」
あなたのことを見直しかけた私に
いつも通りのからかいの言葉。
(やっぱりいつもの鬼副長じゃないかぁ!)
「失礼しましたっっっ!!」
怒りを露わにしながら言うと
「さっさと寝ろ」という声が聞こえた。
怒りながら部屋まで戻る。
しかし、なんだか怒り以外の感情が心にある。
--沖田先生以外には感じなかった感情--
そんなことある訳ない。
打ち消し、明日の隊務のことを考え寝ることに。
そのあと部屋へ戻った総司の感情も知らず。
とりあえず書けるところまで書いて21巻が出たら
考えてみることにしたので続きをUPします。
ついに兄上登場です。
斉→セイで斉藤先生が語ります。
<花香る季節> 5.蕾といえども
三番隊へ異動となるとまた清三郎が泣くかもな・・・
異動の話を土方から聞いた時そう思った。
しかし先ほどのようなところを見ると落ち着かない。
泣くならいつものように私の下で泣けばよいものを。
なぜ土方の胸の中で泣いていたのか。
(泣かしたのはまた沖田さんなのだろう?)
先ほど沖田が戻ってきた様子からしてそうに違いない。
--また、あの日のように一緒に飲みにでも行くか--
斉藤は神谷と初めて飲みにいった日のことを思い出していた。
「うわあぁーーーんっ ぐずっ」
「・・・神谷?」
「斉藤せんせ!?」
何をぐずっているのかと思い
飲みにでも行くかと誘ったのは私だが
今、激しく後悔していた。
「もっと飲め 斉藤ーーっっ!!」
(神谷は、大トラだったのか)
絡んだり拗ねたり笑ったり
暴れては、表情がコロコロ変わる。
「沖田総司のバカヤロー!!」
今度は泣いている。
「お菊なんて女のどこがイイんらよ~」
これが原因か・・・沖田さんが可愛がり過ぎるからだな。
「こんな所で寝るな 風邪をひく」
「!! 兄上の声にそっくりら~」
「そろそろ帰るぞ」
イイ事発見ー♪
こうしてると本当に兄上と話してるみたい
と目をつぶる神谷に
--どっきゅん--
なんだ、今のは?
と思いつつ神谷を屯所まで連れて帰ったのだっけ。
(あの時から恋が始まったのか)
神谷が沖田さんを兄分と決めているのを
分かっているからこそ
”忍ぶ恋こそ至極なり”
と決めたのだが、沖田の様子を見ると
ついつい手にかけてしまいそうになる。
本当にあの沖田さんで幸せになれるのか?
その思いが、神谷の魅力が私から平常心を奪う。
名月の決闘の時終わったと思ったのに
その後の神谷の様子を見て
無理やりにでも奪ったほうがいいのではとも。
(未熟者だぞ、一)
忍ぶ恋と決めたからには平常心を保たねば。
井戸へ向かい頭から水を何度も被る。
神谷には今度から酒を飲む前に甘酒を飲むことを教えよう。
せめてそれが武士の作法だ・・・
そして無防備にもトラにもなられなくて済む。
絶対に教えるべきだと心に決めた斉藤であった。
花香るはずなのにまだまだ香りません(謎)
恋愛に関する心の動き、葛藤はむずかしいですね。
そしてどうしてもこの先浮かばなくなってしまったので
ここまではUPしておきますが、話は一度凍結させます。
21巻が発売されたら再度修正、連載予定です。
<花香る季節> 6.風の行方
あれはナンナノダ・・・
目の前で広がる光景。
気持ちを落ち着かせようとして気づかぬうちに
土方の部屋のほうへ向かったのが間違いだったのか。
愕然とした気持ちになる。
(土方さんと神谷さんがなぜ一緒に?)
あの二人が似ているから仲良くなれると言ってはきたが
二人っきりで一緒にいるところを見るのは嫌だ!
(嫌?なぜ?)
なぜ、あなたが私だけを見つめていないのか
なぜ、私以外の者の前で泣くのか
なぜ、私のそばにいないのか
総司はいつの間にか眉間に皺を寄せていた。
しかしそんな自分には気づかない。
神谷と土方がそれぞれの部屋へと帰り
少し時間が過ぎた頃、ようやく動くことができた。
(私もそろそろ部屋へ戻らなければ)
部屋へと入るとすでに神谷は寝ていた。
そっと顔を覗き込む。
そこには泣きはらした目をした可憐な少女。
寝ていたことに安心する気持ちとは別に
先ほど考えすぎたせいなのか心になにか圧し掛かる。
--私は何も感じていない--
心にまた鍵をかける。幾重にも。
私は武士です。近藤先生をお守りするのが私の『誠』。
それ以外は何事も必要ないのです。
でも、なぜか神谷さんあなたのことを考えると
私の内のなにかが崩れていくのです。
ダカラ ワタシハ
カンガエナイ、カンジナイ
いつもの様に感情に鈍感でいればいい。
そんなことは簡単なことなのだから。
そのはずなのだから。
そう思い布団に入るが眠れない。
そして再び神谷の寝顔を覗き、前髪に触れた。
あなたはいつもそうです。
無防備に他人を寄せつける。
それがどれほどあなたにとって危険なのかを解ってない。
今もそう。
私はあなたにとってどんな位置にいるのでしょう。
無防備でも安全だと思っているのですか?
また、心が溢れていることを自覚しないまま
総司は清三郎の額へと口づける。
そしてその目の前には
ほんのりと紅く誘うような唇。
目を奪われ
誘われるように・・・
あなたが悪いのです。
そう、無防備なあなたが。
そこには己の心にまだ無自覚なままの総司がいた。